~1~  

 10月18日は、アヤカの一番の親友である風祭沙耶の、中学生になって、二度目の誕生日だったりする。  それで、今、沙耶は、アヤカの現在の住居である、この市でも、随一古い建物を数えても、五指に入る洋館の玄関先で、圧倒されていた。彼女の実家は、世界でもトップクラスの、ビ○・ゲ○ツの資産にも匹敵するほどのセレブだということは、小耳に挟んではいたのだが、某市桜ヶ舘一丁目の一区画まるごと私有地だとは思わなかった。

 「 でかっ!」  

 町の市民からは、颸風館(しふうかん)の名で親しまれている明治時代から建っているかのような古い洋館を、 沙耶は見上げながら、思わず、叫んでしまった。そのとき、沙耶の耳に、聞き覚えのある叫び声がした。

 「 どいて、どいて、どいて~~~~っ!!!!」  

 その秋空に溶けた小さな点が、急速に拡大しながら、沙耶の頭上に落ちてくる。  
 その黒いスパイラルスカートの中の、青と白のストライプ柄のパンツが、沙耶の視界に入り、
よく知った人物だと確認して、名前を言おうとしたのだが、  

 「 へっ???あっ…!ディ…。」

  …テさんと、続けることは、彼女のクッションになった沙耶にはできなかった。

~2~

 さて、そのころのアヤカといえば、ハロウィンの衣装に着替えて、沙耶とディテを待っていた。  十字をモチーフにあしらったバロットの黒革のゴスパンクな衣装に、軽く天然パーマが入った亜麻色の髪を、 ツインテにして、紫のリボンで結って、背中には、コウモリっぽい翼をつけている。

 「 どう?ソフィ。魔王さんっぽい?」

 シナをつけながら、アヤカは、彼女の世話役のメイド姿の少女ソフィに、尋ねた。

 「 はい。とっても、お似合いです。」 

 と、笑顔でソフィが応じたとき、ディテと沙耶が入ってきた。

 「 お邪魔しまぁす。」

 「いらっしゃいませ。」

 こうして、三人集まって、沙耶の誕生日会の準備がはじまった。

~3~

ぷぅ~~~っ! ぷぅ~~~っ! ぷぅ~~~っ!

 赤いじゅうたんが敷かれた288畳はある応接間に、アヤカと沙耶とディテの、途切れない吐息の音が
響いている。途中の折り紙で輪っかを、たくさん作り、それをつなげて、紙の鎖としたまでは、よかった。
 何か足りないと、アヤカが、しぼんだゴム風船を大量に持ってきてからは、目的を忘れて、ふうせんあそび
をしていたディテと沙耶とアヤカであった。

 【つづくかもしれない】